選挙市民審議会 第12回 第1部門審議会開催
2017年5月16日、衆議院第2議員会館第2会議室にて、とりプロ選挙市民審議会の第12回第1部門審議会が開催されました。
この日の審議は、「選挙運動規制の全廃」と、「公務員の選挙運動または政治活動の場合」についてでした。
小林幸治委員と石川公彌子委員が発題を担当し、それに基づき自由討論をいたしました。
小林幸治委員
公職選挙法第十三章「選挙運動(129条から174条まで)」の中で、選挙運動規制を設けている条文について基本的に全削除する。あまりにもしてはいけないことだらけで、市民の政治参加を阻害しているので。
「公営の選挙」に関わる部分については別途審議し必要な改正を施した上で、条文を残す可能性がある(143条から145条まで、149条から151条の3まで、167条、172条の2等)。この点については議論を深めていきたい。
また、資力のある人たちに有利になってはいけないという意味では、「挨拶を目的とする有料広告の禁止」(152条)・「交通機関の利用」(176条)も意義がないわけではない。「選挙公報の発行」(167条)など事務手続き上必要な条文もどこかに存置すべきだろう。
いずれにせよ政治資金・公費負担とセットで考えて結論を出すべき。
現行の公職選挙法を一旦廃止し、新たに「選挙市民参加法(仮)」のような名称で、「選挙運動を自由に楽しく」というスローガンのもと、政治参加を促進するという趣旨の法律を創設することも一案。
石川公彌子委員
公職選挙法136条から137条の教育者を含め公務員の選挙運動の禁止を全廃する。諸外国と比しても厳しい選挙運動規制である。公務員は職務上「全体の奉仕者」(憲法15条2項)ではあるが、参政権・政治的表現の自由(憲法21条)との関係では、個人の人権の方がより重大な意義を持つと考える。
公務員である上司による職権濫用やパワー・ハラスメントなどにつながりかねない行為は慎むべきである。その点、人事院規則14-7の6項一・二号や、地方公務員法第36条3項などの規定は存続させるべき。
片木淳共同代表(今回の議長)
選挙運動規制の廃止については、『中間答申』(2017年1月24日公表)で、すでに改正案を提示している部分もあるので『最終答申』の書き方に工夫が必要である。
第十三章については、二つに仕分けできる。一つは規制に関する部分でありこれは撤廃する方向。ただし政治資金の「上限」を規制して資力ある者に有利にさせないことだ。もう一つは資力のない者たちへのサービスに関する部分である。いわば「最低保障」や「下限」を示す部分は残すべきだろう。
公務員の政治活動について、猿払事件・堀越事件などの重要判例について調査することを「宿題」とする。
山口あずさ委員
現行公職選挙法で「飲食物の提供の禁止」(139条)などのように「お礼」が禁止されているので助かる面もある。禁止されない限り、この国の風習的に選挙運動を手伝ってもらった人にお礼をせざるをえない。現行法は資力のない者をある意味で助けている。
前回審議された、どんな人も立候補しやすくする法改正に大賛成。
職権で政治的立場に影響を及ぼすことは常識的に良くない。他の法律でそのような職権濫用が制限されているのならば、公職選挙法の改正は不要なのでは。
太田光征委員(第2部門)
公開討論のテレビ放映を義務化させるというような改正もありうるのでは。
桂協助委員(第2部門)
『最終答申』で、「選挙市民参加法(仮)」を創設するという方向性を打ち出すのは有意義。
丸井英里 とりプロ事務局
「すべてを自由に」に賛成。ただし自由に選挙するための公費負担もある(交通機関利用等)。現行法で困っていることや助かっていることを下から汲み上げるべき。
城倉啓 とりプロ事務局長
「サービス」の一種かもしれないが「公の行政がなすべき義務」というカテゴリーもある。「知る権利」との関係で拡充すべき義務もありうるのでは。
今回は坪郷實委員の欠席により、選挙運動規制の国際比較は十分に審議できませんでした。今後の第1部門審議会の予定については別途調整し、改めてお知らせをいたします。
【今後の選挙市民審議会の予定】
6月15日(木)17:00-19:00 全体審議会 衆議院第2議員会館第8会議室
6月21日(水)13:00-15:00 第2部門審議会
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