選挙市民審議会 第9回 第3部門審議会開催
2017年5月12日、衆議院第2議員会館第5会議室にて、とりプロ選挙市民審議会の第9回第3部門審議会が開催されました。
この日の審議内容は、前回審議を受けて大山礼子委員作成の首長選挙に決選投票制度を再導入する改正案です。
桔川純子委員(今回の議長)
前回決選投票制度の再導入を決議し(4/3)、今回大山委員に改正案の条文を作成してもらった。
太田委員より根本的な疑義が提起されているが、第3部門としては現行の再選挙制度を決選投票制度の再導入に改めることを再確認する。
大山礼子委員
決選投票制度を再導入するにあたっては、1950年まであった以前の決選投票制度の条文を参考にした。たとえば、告示の日から15日以内の決選投票の実施や、選挙の期日前5日までの告示などである。
ただし、告示日から選挙期日の前日までの間に当該候補者が死亡したり、候補者であることを辞退したりした場合には、決選投票を行わないということを明記した。第一回投票で勝者がほぼ明確な場合、辞退がありうる。これらの場合に以前の制度では第3位得票者が繰り上がって決選投票を行っていた。
全候補者への選好順位投票よりも(1位・2位・3位・4位…最終順位まで)、ボルダの配点式(3点・2点・1点)の方がまし。選好順位に従って2位に投票した人が多い候補者の当選に有権者が納得できるか。ただしボルダ式のように得点を付けることは民主主義や選挙という事柄そのものになじまない。
フランスの大統領選挙を見ても決選投票制度が良いと思う。本当の争点が何であるのかが煮詰まる効果が期待される。
三木由希子共同代表
選好順位投票の結果を投票者がどのように納得できるか。かえって投票率が下がらないか。「コンドルセ勝者」が見いだせない場合、結局コンクラーベのように再選挙になるならば現行と変わらない。
決選投票制度再導入の場合、第1部門と関係するがポスター掲示はどうなるのか等の選挙実務に関する詰めが必要となる。また、無投票当選が多い現状があるので、立候補しやすくする仕組みも併せて提起しなくてはならない。
太田光征委員(第2部門)
決選投票制度ではなく、候補者全員に選好順位を付けた投票をし、その候補者同士の総当り戦をさせて「コンドルセ勝者」を探る方法の方が良い。アイルランドのような「生票を配る」単記移譲式も良い。決選投票に臨めない候補者がいることに納得できない。社会的選択理論はいまだに浸透していないので有権者に分かってもらうしかない
桂協助委員(第2部門)
移譲式の選好順位投票は国際的にも数少ないのではないか。
有権者は選挙の結果を新しい政治状況の現出と共に納得しようとし、次の選挙へと向かう。民主主義のダイナミズムだ。太田委員の意見は数理的合理性の範囲内に留まっていて、民主主義論になっていかないのではないか。
城倉啓とりプロ事務局長
世論が「自分たちの選挙制度」と理解できる改正案が良い。数学的な知識や教養を前提とする選好順位投票が「エリート主義」にならないかを危惧する。それでは法改正を促す運動が世論として市民に広がらない。
決選投票時に両者が同票だった場合には、以前と同じく籤によって当選者を定める方式が良い。
この日の審議を経ていくつかの文言の修正がなされ、決選投票制度再導入が確認され、清書を大山礼子委員が担当することになりました。
6月15日(木)開催の全体審議会にて、2月に行われた韓国視察(三木・大山・桔川3委員による)の報告があります。また、その席上で「首長選への決選投票制度再導入改正案」も審議に付されます。
【今後の選挙市民審議会の予定】
5月24日(水)10:00-12:00 第2部門審議会 衆議院第1議員会館第3会議室
6月15日(木)17:00-19:00 全体審議会
6月21日(水)13:00-15:00 第2部門審議会
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