選挙市民審議会 第6回 全体審議会開催
2017年6月15日、衆議院第2議員会館第8会議室にて、とりプロ選挙市民審議会の第6回全体審議会が開催されました。
この日の審議内容は、
①今までの報告と今後の予定
②韓国視察報告
③首長選挙改正案でした。
片木淳共同代表(第1部門)
国政選挙制度改正案のとりまとめは、第2部門で決議された評価基準に照らして総合的に評価点の高いものを一つ選べば良いのでは。われわれの出発点に立ち戻って「小選挙区制はおかしい」というところで一致できないか。複数案の併記ではなく一つの改正案提示を目指したい。
8月は「障害をもつ人の参政権保障連絡会」事務局長の芝崎孝夫さんを招いて、その視点からの公選法改正案を伺う。
7月25日にも合同審議会を行うが、今後は第3部門委員を交えて積極的に擦り合せを行っていく。
決選投票に代えて選好順位をつけた総当りを実施している国はあるのか。
只野雅人共同代表(第2部門、今回の議長)
国政選挙制度改正案について方向性については合意できる。三人の委員から出ている改正案はどれも捨てがたいものを持っている。Bestではまとまらないが、「これなら呑める」という構えを委員にお願いしたい。
8月の第1部門審議会において、「18歳選挙権と住民登録期間短縮」の話題提供を一橋大学小岩教授にしていただくことをお願いしたい。
三木由希子共同代表(第3部門)
2月22日から24日まで大山・桔川両委員と共に韓国視察を行った。中央選挙管理委員会、教育庁、政党のシンクタンク(政策研究所)、議員や有識者らを訪問し聞き取り調査を行った。
韓国の選挙管理委員会は憲法の中に位置づけられ権限が非常に大きい。国会にも立法意見を述べることもできる。しかし余りに中央集権的であり、選挙の論点出しまで行う「やり過ぎ」に批判の声も多い。
日本の政党助成にあたる「政党補助金」は使途が定められている。50%は中央政党へ、30%は政策研究所へ、10%は政党支部へ、10%は女性政治発展のために用いなくてはいけない。政治資金収支報告は四半期ごとの公開が義務付けられ、一度公開したら修正ができない。
政党もまた中央集権的であり政党に所属しないと地方議会選挙も立候補できない。
公選で選ばれる教育監が「民主市民教育(主権者教育)」を主導している。「ろうそくデモは最も効果的な民主市民教育」とし、若者の政治参加を後押ししている。
*写真は5月の第3部門審議会のもの
小林幸治委員(第1部門)
選挙市民審議会が外部団体の法改正案を積極的に受け入れることには賛成。ただし共同代表者会議の議を経て改正案の吟味を予めしてほしい。選挙制度に直接の関係は薄いが、「請願制度改正案」を市民政調もまとめている。これもぜひ取り上げてほしい。
第3部門の首長選挙改正案の通りに決選投票再導入した場合の経費増加は、どの程度と見込んでいるのか。
太田光征委員(第2部門)
国政選挙制度改正案の絞り込みはどの程度のものか。一案提示に至らない場合の「異論併記」との兼ね合いでそれが問題となる。
選好順位をつけて総当りをさせれば決選投票をせずに済む場合もある。それでも決まらない場合の手当を別途考えれば良い。海外先例は無いが日本が先駆となれば。
小澤隆一委員(第2部門)
第1部門で審議されているように選挙運動の自由化を目途に罰則規定を一般刑法に移すとしても「選挙の自由を妨害する罪」は残らないか。
韓国は若々しい民主主義という印象。韓国の場合公務員の政治活動は規制が厳しいのか緩いのか。
決選投票の再導入は投票率とかけ合わせた議論なのか。コミュニティの代表を選ぶには合意が必要。デモクラシーの論理だけではしこりが残る。
桂協助委員(第2部門)
第1部門のように単発的な諸改正が可能なものと異なり、第2部門の選挙制度本体の改正はシステム論議である。基本方針を定めて複数案を提示することならば出せる。
田中久雄委員(第2部門)
国政選挙制度改正案をまとめあげるにあたって、第2部門審議会に他の部門の委員の陪席を求める。すでに第1と第3の部門間の仕切りが明確ではなくなっているのだから、第2部門にも多くの委員の陪席を得て、今のうちから積極的に意見聴取をしたい。それによって、片木・只野両代表の言われているように、一つにまとめあげる努力をしたい。
大山礼子委員(第3部門)
韓国のクオータ制は比例代表部分(全体の6分の1)だけに適用されているので、女性の政界進出はまだまだ。
第3部門では首長選に決選投票を再導入する改正案を決議した。かつての決選投票制度と異なる点は、法定得票を8分の3ではなく2分の1としたこと、決選投票候補者の辞退を認めたことにある。フランス大統領選を見ても、最初から選好順位をつけないで二回投票する決選投票があって良かったと思う。有権者はもう一度政策論議ができたから。
決選投票が実施されるのは全体の一割程度と見込まれる。これは民主主義の必要経費とみなしうる。
桔川純子委員(第3部門)
韓国の新大統領は「反日」としばしば報じられているが、ソウル市の政策を踏襲し、斬新な人事を敢行している。市民団体「参与連帯」との交流も深く、そこから秘書官に5人任用されている。閣僚に30%も女性が任命されている。選挙制度では地域政党を「政党」として位置づけようとしている。全国で18人中13人が進歩派の教育監。
公務員はNPOやNGOに加わることも禁止されている。契約公務員も多いが政治活動の規制は厳しそう。
城倉啓(とりプロ事務局長)
都道府県・市区の個人ビラ頒布の自由化が今国会で実現しそう。この内容はわたしたちの『中間答申』でも盛り込んでいたので、選挙市民審議会の実績の一つ。ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟や、クオータ制を推進する会との協力関係は今後も大事にしたい。
外部団体がすでに策定している公選法部分改正案を積極的に採り入れていく姿勢が、8月の第1部門「外国人参政権」の話題でも必要になろう。
『最終答申』の体裁についても、そろそろ考えていきたい。あまり大部なものも読まれにくいが、内容的に薄くても信用性に響く。委員のみなさんの知恵を拝借したい。
【今後の選挙市民審議会の予定】
6月21日(水)13:00-15:00 第2部門審議会 参院議員会館1階102会議室
7月 8日(土)15:00-17:00 第1部門審議会 いづみ幼稚園
7月25日(火)12:00-14:00 第1部門・第3部門合同審議会 場所未定
7月28日(金)10:00-12:00 第2部門審議会 場所未定
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