とりプロなう82号

選挙市民審議会 第14回 第2部門審議会開催

2017年6月21日、参議院議員会館1階第102会議室にて、とりプロ選挙市民審議会の第14回第2部門審議会が開催されました。この日の審議内容は、各委員の選挙制度案についての検討と、アイルランドの一票移譲式投票についての紹介でした。

 

 

田中久雄委員    

 

無所属を当選させるための制度設計が許されるのか。太田案は現実離れした制度。定数5を設けても無所属候補に当選可能性は低い。一人二票制なのに一票が無効になる場合があって良いのか。中選挙区を設ける意味が分からない。

桂案に有権者からの視点を加えてはどうか。九州・四国は自民党が圧倒的に強い。有権者も自民党候補を複数当選させたいのではないか。

 

 

  小澤隆一委員

 

制度が目的を裏切らないことが、確実性・信頼性にとって重要。

太田案は「代表を選ぶこと」にフォーカスされている。

田中案は名簿の統一で政権を狙うことができる。

桂案は、一票制のため政党/個人の「ねじれ」の自由が無い。「広域候補者」は「選挙された議員」(憲法43条1項)に反しないか。

 

 

桂協助委員   

 

太田案では政策の異なる政党が協力して無所属に対抗する。無所属が当選しない場合政党名簿に投じた票が有効になるのだから、選挙協力は政党にとって損がない。政策論争が減ることは民主主義にとって良いことなのか。

自説でもいわゆる「比例復活」はありうる。

 

 

  林克明委員

 

今も有力な無所属候補が似たような政策傾向を持つ政党への投票を呼びかけている。その意味では太田案と同じことではないか。

 

 

  太田光征委員

 

無所属候補が当選したら無所属候補に投じた人の政党名簿への票は無効となる。無所属を優遇しようとはしていない。政党優遇のままで良いのか、双方を平等に近づけようとしているだけ。

桂案は無所属に投じた有権者は300議席にしか影響を与えないが、政党に投じた有権者は480議席に影響を与えうる。

 

 

山口真美委員   

 

他の諸価値の中で「無所属」にのみ、より高い価値があるのか。それはコンセンサスを得られる価値なのか。プレミアを何かにつければ必ず裏返しの弊害が起こる。国民が平等に選ぶことが大切。

アイルランドのように複数順位をつけて選ぶのは有権者にとって辛い。比例性を高めれば高めるほど定数が増え、有権者にとってより投票が辛くなる。

 

 

  只野雅人共同代表

 

太田案では、選挙区に政党の看板を背負って立候補した場合の票は意味が無くならないか。無所属と政党の割合を決めるだけの意味しかない。共倒れのリスクが無いので、大政党がフルに立候補者を立てる可能性もある。その場合かえって無所属に不利になるのでは。

アイルランドは単記移譲式選好順位投票を行っている国。3-6の定数の中選挙区制で一人一票。順位付けをして投票し1位票だけでは分からない投票者の意思を探る。歴史的には狭い地域での宗教対立を背景に、「はっきりしない結果」が好まれたため定着した。移譲式の後に、比例代表制度が編み出され広まった。

 

 

 

 

次回は、各委員の選挙制度の検討を、特に「6つの評価基準」(第13回第2部門審議会にて策定)に照らし合わせて行います。

  

7月までに諸制度の絞込みを参議院も含めて同時に行い、8-9月にまとめて、10月に衆参選挙制度改正素案を第2部門として確定する予定です。


 【今後の選挙市民審議会の予定】

 

7月 8日(土)15:00-17:00 第1部門審議会 いづみ幼稚園

7月25日(火)12:00-14:00 第1部門・第3部門合同審議会 衆議院第2議員会館地下第2会議室

7月28日(金)10:00-12:00 第2部門審議会 衆議院第2議員会館地下第5会議室

8月28日(月)15:00-17:00 第1部門審議会 場所未定