選挙市民審議会 第13回 第1部門審議会開催
2017年7月8日、世田谷区のいづみ幼稚園にて、とりプロ選挙市民審議会の第13回第1部門審議会が開催されました。
この日の審議は、「選挙運動期間の全廃」。坪郷實委員がドイツの事例を紹介しながら発題を担当し、それに基づき自由討論をいたしました。
坪郷實委員
ドイツではちょうど今年の9月に連邦議会選挙が行われる。選挙運動期間を設けていないドイツの場合、どのようなタイムテーブルで選挙戦が行われているのだろうか。
大前提として政権与党による「解散権の濫用」が差し控えられており、選挙の一年前には選挙日が確定している。
今回は2017年9月24日である。
選挙日の一年前から二大勢力による首相候補についての議論が始まる。
与党側は2016年9月に、野党側も2017年3月には首相候補者を選定している。与野党ともに選挙日の約三か月前に「選挙綱領(政権公約)」を公表している(6月下旬から7月上旬)。8月から9月には各地で政党の選挙集会が行なわれる。選挙運動規制は無い。支援者からの寄付および、寄付と同額の政党交付金が選挙/政治活動の資金だ。9月初旬にはテレビで首相候補対決が行なわれ、開票後の夜にテレビで党首討論が行なわれることも慣例となっている。
手続きについては以下の四つの期日が規定されている。
①連邦議会ないし州議会で最低5議席持つ政党以外の場合、選挙日の97日前までに選管に「選挙への参加通知」を提出すること。
②上記以外の政党の場合、選挙日の69日前までに選管に「小選挙区候補者リスト」「州候補者リスト」を提出すること。
③選挙日の48日前までに選管が小選挙区候補者、州候補者リストを公示すること。
④選挙日。
選挙運動期間が無くても十分選挙は行える。選挙が終わった時に次の選挙が始まる。本格化するのが一年前というだけのこと。
選挙運動と政治活動の区別は存在しない。区別で何が生まれるのか。
行政手続以外の部分(日本のポスター掲示の類)には公費をあてがっていない。選挙運動全般、例えばテレビの有料広告に対しても規制はないが、どの陣営も直前にしか用いない。選挙綱領が発表された後の方が効果的だから。
片木淳共同代表(今回の議長)
日本で現状慣例化されている「七条解散」は別途議論したらよい。
ホームレスの人々の選挙権保障については実証データがなければ法改正提案には至らない。
我々の本丸は「選挙運動規制のための選挙運動期間の廃止」にある。ドイツで問題なく選挙ができているのだから、そのまま引き移してもよい。
選挙直後の党首討論は面白い。
ドイツでは1990年代に地方自治の大変革があった。日本の地方分権の流れからすれば自治体ごとに選挙制度を選択させても良いと考える。
山口あずさ委員
ドイツ連邦議会では解散をしたことがあるのか。法律で解散権限を縛っているのか、それとも慣例か。日本の場合、選挙日の一年前に公示しても、その後に解散をされてしまう場合もあり、予想がつかない。
選挙についての罰則規定は一般刑法に移すことで、罪刑法定主義が実現できる。
日本の記名式ではなく、ドイツの記号式の投票用紙の方が国際標準なのか。
太田光征委員(第2部門)
ドイツでは公示されてからの期間(一年間)が選挙運動期間ということか。
ホームレスの人々の選挙権は保障されているのか。
ドイツでは自治体ごとに選挙制度を選択させているが、選挙市民審議会としてはどのように考えるか。
立法目的の中に選挙腐敗防止を書き込むことが妥当か。罰則規定を一般刑法に移すこととの関係で問題になる。
桂協助委員(第2部門)
選挙運動期間が撤廃されることは、政治活動が選挙運動を含むということになる。ドイツのように日本の民主政治がレベルアップすることを望む。
富山達夫 とりプロ事務局
ドイツの場合市長が市議会議長を兼務することが多いようだが、どのような経緯でこのようになったのか。日本でも都議会議員選挙の直後に、「二元代表制」についての疑義を晴らすという理由で、小池百合子都知事が会派代表を辞任をしたが。
城倉啓 とりプロ事務局長
選挙運動期間の廃止が先にあり選挙運動規制が残る場合に、公職選挙法違反による取り締まりがいつでも任意になされるおそれもある。両者同時の全廃を提案すべき。条文で言えば129条をその他の規制と併せて削除/廃止することで済む。
公費負担の部分(底上げ)と政治資金の部分(天井)を併せて、資力のある者たちが不当に有利にならないようにするには、どう考えるべきか。
【今後の選挙市民審議会の予定】
7月25日(火)12:00-14:00 第1部門・第3部門合同審議会 衆議院第2議員会館地下第2会議室
7月28日(金)10:00-12:00 第2部門審議会 衆議院第2議員会館地下第5会議室
8月28日(月)15:00-17:00 第1部門審議会 場所未定
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