選挙市民審議会 第15回 第2部門審議会開催
2017年7月28日、衆議院第2議員会館地下1階第5会議室にて、とりプロ選挙市民審議会の第15回第2部門審議会が開催されました。
この日の審議内容は、衆議院改正案の方向性を一つに絞ることと、参議院改正案の論点出しでした。
桂協助委員
民意の反映は政策論争なしにありえない。桂案が政策論争に適している。
太田案の政党対無所属の構図は健全ではない。必ず無所属を騙る政党候補が出る。
田中案はオーソドックスで受け入れられやすい。定数を絞り、全国比例にすればより良い。
参議院は人物を選ぶ制度、中選挙区・男女同数制、4-6名の定数で単記投票ではどうか。人権・学術・教育などの課題を先議させる院とする。
田中久雄委員
太田案・桂案のような、比例の中に選挙区を組み込む併用制でも、大政党中心になる。新規参入しにくい。二票制では選挙区の政党候補が有利。
田中案の新しさは政党ごとに、拘束/非拘束/半拘束と名簿の形式を選べること。
北欧は比例代表導入と共に二院制から一院制に移行した。一院でチェック・アンド・バランスができるから。二院制を堅持しつつどのように色分けするか。
議員定数は、衆院を増やして参院を減らすなどすれば理解されやすいか。参院を少数精鋭の専門家集団に。
小澤隆一委員
田中案が一番シンプルで有権者に分かりやすい。ただし非拘束式名簿一本の方がもっと分かりやすくなるのでは。全国集計ではなくブロック毎集計にしかなりえないのでは。衆院は600議席に増やしてはどうか。また、沖縄は定数が少なくなっても独立したブロックにしても良い。
任期がより長い参院の特性を生かして、全国民的生き方や利害が絡まない問題についての議員立法を増やす工夫はどうか。全国区は広すぎるが都道府県単位が利益誘導の温床にも。参院は桂案に賛成。併せて参院議員は大臣になれないようにできないか。参院なりの国政調査権の行使のありようが考えられないか。
小林五十鈴委員
田中案が自分の思いに近い。とにかく小選挙区制はだめ。直近の選挙区割りでもぐちゃぐちゃになって、地域性と人物をよく知る機会が失われた。中選挙区制の方がまだまし。選挙運動と選挙制度は深く関わる。復活当選が無い制度へ。
男女共同参画推進法案が継続審議になった。クオータ制について選挙市民審議会でも打ち出してもらっても良い。
太田光征委員
最初から受け入れられやすい案を採るべきでない。候補者選定権を政党にのみ与えるべきでない。投票により院内に影響力を与える投票価値の平等のために死票を最小化すべき。主権者の分布と議会の分布の一致を。
田中案は全国名簿にした方が良い。定数が一桁程度だとブロック間で不公平が起こる。サン=ラグ式などを用いれば無所属に配慮も。
非拘束名簿の分割名簿にして男女に分ければクオータ制が可能。衆参の差異化に反対。熟議を求めることに二院制の意義がある。
伊藤朝日太郎委員
人を選ぶ側面・住所や職場所在地・イメージのしやすさの3点を重視したい。
桂案は政党を重視しすぎで無所属に不利。有権者から見ると選挙区の政党候補者に投票したい人がいない場合に困る。
太田案は投票価値の平等に優れているが全国集計されることでイメージしにくくなる。
田中案は民意の反映の点や、非拘束名簿も利用できるし、無所属も立候補できるので最もフィットしている。ただし条件としてブロック定数を20名以上にしてほしい。
只野雅人共同代表
太田案は無所属への配慮をしているが意図通りに機能しない可能性がある。
桂案は有権者に直接選ばれない候補者がいる点が憲法問題になりうる。
田中案は最もバランスが良い。衆議院の改正案は田中案の単純比例代表制をブロック単位で行うという方向性に一本化する。それを前提に参議院の選挙制度を考える。
参院は中選挙区に賛成。共倒れが出るけれども。アイルランドの移譲式は分かりにくい。男女同数は憲法問題に触れる可能性がある。
議員定数は衆院600、参院300でどうか。
城倉啓 とりプロ事務局長
12月末の『最終答申』には一つの衆参選挙制度改正案を世に問う予定。両論併記はしない。事務局は実務に全力を注ぐので委員の方々にも一本化に協力をお願いしたい。将来的な課題や、煮詰めるべき論点、重視できなかった点などは付記に盛り込む。
衆議院の改正案は、全国をブロックに分けて比例代表制選挙を行う、一人一票制で復活当選なし、一人でも立候補でき阻止条項を設けないという方向性に一本化されました。
8月に参議院の案も固めて、9月に部門決議をし、10月に他の部門とのすり合わせを行う予定です。
【今後の選挙市民審議会の予定】
8月22日(火)17:00-19:00 第2部門審議会
8月28日(月)15:00-17:30 第1部門審議会 衆議院第2議員会館地下1階第6会議室
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