選挙市民審議会 第8回全体審議会開催
2017年11月30日、衆議院第2議員会館地下1階第4会議室にて、とりプロ選挙市民審議会の第8回全体審議会が開催されました。
この日の審議内容は、
①学生ホームレスの選挙権
②日本国籍をもたない人の参政権
③被選挙権年齢引き下げ
④民意が反映される国政の選挙制度
⑤答申の総論
⑥政党助成の使途を政策づくりに
でした。
片木淳共同代表(第1部門、今回の議長)
①学生ホームレスの選挙権保障について抜本的な改正を提案したい。住所に関する従来の解釈を180度転換し、「居住者の主観的居住意思」をできるだけ尊重し、学生の住所は本人の意向により帰省先または勉学先の市町村に、ホームレスの住所は公園等にあるとする。
②「過去の国民」も「将来の国民」も、現在の国民ではない。論拠になりうるか。地方自治は分かるが、地方参政権保障についてもっと前向きな記述に。
④制限連記制は多数代表制に近いという説明も必要となる。
只野雅人共同代表(第2部門)
②「過去の国民」「将来の国民」論は憲法学では少数派。それよりも、「永住市民denizen」という考え方を前面に出してはどうか。国籍がなくても長く住んでいる人々に参政権を保障することに意義がある。関係の薄い判例については削除したほうが良い。
④女性議員を増やす工夫については、参議院選挙では政党助成金の増減によって女性候補者の擁立を促す。また、制限連記制 (2名連記) を提案し男女を選びやすく。衆議員選挙では非拘束式名簿を男女交互にと政党に。
⑤目次立てを参考に総論を作成したが、本日の審議をもとに、日本国籍をもたない人の参政権保障・移住者ホームレスの参政権保障について訂正する。
三木由希子共同代表(第3部門)
①民法の定める私的権利を公的権利に持ってくることには慎重に。マイナンバーの話に踏み込まない方が良い。
②「国境沿いの小さな市町村で外国人が増えた場合を懸念する」意見に対しては、「日本と異なり地続きのヨーロッパでさえ地方参政権を外国人に保障しても問題が起こっていない」という事実を突きつければ良い。
③成年年齢について言及するとしても、民法を意識しないでさらりとした記述を。
④単記/連記の違いが一般に理解できるか。
⑥2015年自民党政党交付金使途等報告書によると、調査研究費は支出全体の1.5%。政策研究費に政党交付金の5%以上を各政党があてることを義務付ける提案。また政策研究活動について一定の情報公開を義務付ける。何を「政党」というかについては次期にもちこし。政党助成制度で女性議員を増やす工夫にする際には、「多様性を担保する」というインセンティブで。
太田光征委員(第2部門)
①居所を住所とみなすという民法上の根拠も追加してはどうか。
④参議院に制限連記制を導入した場合のシミュレーションをした。結果大政党が議席を占有する可能性があることが分かった。制限連記制は民意からの極端な乖離をもたらしかねないので反対。市区町村議会選挙では「グループ化を促す」という導入理由だったが、参議院では「人を選ぶ」との相反する理由付けとなっている。
小澤隆一委員(第2部門)
①二重投票を防ぐにはマイナンバーを想定しないと無理では。
桂協助委員(第2部門)
④男女同数制を主張する者として参議院に2名連記を導入することに賛成。複数を選ぶことは「人を選ぶ」メリットとなる。
田中久雄委員(第2部門)
⑥政党助成と議員数の増員が関係する。歳費も増加し、政党交付金も増加する。政党交付金の増額分を歳費に回すなどの工夫が必要では。
大山礼子委員(第3部門)
①次期に議論して欲しいが、なり手不足の地方議会議員選挙において、選挙区に住所がなく選挙権がなくてもその地域で立候補できるようにできないか。
②地方参政権保障を地方に丸投げに反対。特に特別永住者を国政で日本国籍をもつ人とみなすなら地方選挙でもそうすべき。地方の条例は上乗せ条例ならば分かる。
城倉啓(とりプロ事務局長)
②「過去の国民」だった「特別永住者」に、日本国籍をもつ人と同等の選挙権・被選挙権を。「将来の国民」(憲法97条)である「永住者」については10年以上の居住で、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」には3年以上の居住で、「定住者」については5年以上の居住で、国政の選挙権を付与。地方参政権は地方議会の条例で。
③被選挙権年齢を18歳にする改正案。成年年齢引き下げと関連付けない。
【今後の選挙市民審議会の予定】
○第9回全体審議会
日 時:12月14日(木)10:00-13:00
場 所:衆議員第2議員会館 B1 第5会議室
内 容:『選挙・政治制度改革に関する答申―21世紀の選挙民主主義の確立に向けて』決議
○第2期第1回選挙市民審議会
日 時:2018年2月4日(日)14:00-17:00
場 所:東京ボランティア・市民活動センター
内 容:『答申』のおさらい、第2期活動の論点出し
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