選挙市民審議会
2018年4月26日、衆議院議員会館にて、第2期選挙市民審議会の第2回目の審議会が開催されました。
この日の審議内容は、選挙運動期間の撤廃についてでした。
小林幸治委員
ドイツ連邦議会を参考にして『答申』では、政党・政治グループの届出を選挙期日の100日前まで、候補者・候補者名簿の届出を選挙期日の70日前まで、候補者・候補者名簿の公表を50日前までとした。より長い時間で判断できるので投票率向上にもなるのでは。
選挙運動規制全廃の一貫としての選挙運動期間の撤廃。運動規制がなくなるので事前運動が自由になる。手続の各種の期日と選挙運動は無関係。
日本には政党法がない。
英国の仕組みについては大山礼子委員にも意見を聴取したい。
坪郷實委員
手続の日数を長めにした理由は2つ。
①市民が選挙運動に関わりやすくするため。
②既成政党・現職有利にならないように。
衆議院も自治体も任期満了選挙を基本とできないか。4年の任期を想定して投票しているのだから。ドイツでは基本は任期満了、やむを得ない場合に法律を用いて解散。
政党・政治グループの届出が最も早いのは審査のため。候補者・候補者名簿の届出と公表を区別した。
ドイツでは政党法の規定により党大会で候補者を決めなくてはいけない。
選挙運動規制が自由となっても手続規定は必要。投票用紙を作成するために。どのような体裁の投票用紙にすべきか。また、期日前投票の期間をどの程度確保すべきか。
片木淳共同代表
解散もありうるのではないか。
自治体については柔軟な表現に変えたほうが良い。ドイツの日数にこだわらなくても良いが、長めの日数設定は現行との差をアピールするため。
内閣府が行った全国4000名の地方議会議員に対するアンケート調査結果によれば(4割回答)、女性議員が少ない理由は資金不足と厳しい選挙運動規制。
三木由希子共同代表
自治体の場合リコールが住民の直接の権利として認められている。地方自治法上の権利に抵触しないか。
直前の届出・立候補を認めないことは、既成政党に有利にならないか。
提案に則れば、公費負担は選挙運動にはあてられなくなる。選挙が終わった後の精算という仕方もありえない。
政党交付金は広い意味の公費負担。ところが地域政党は助成されない。
無責任に候補者を選定してほしくない。選定プロセスも見せるべき。
只野雅人共同代表
政治資金の上限をどうすべきか。政治活動と選挙運動の区別がなくなるので、どのような枠組みにするか知恵をしぼるべき。
小澤隆一委員
憲法学からは「任期満了が基本」とは言い切れない。現行の7条解散説(首相の専権事項との解釈)が69条限定解散説よりも学会では多数。
選挙運動期間撤廃というよりも期間延長の提案に見える。
衆議院で比例代表を提案していることとフィットしなくては。比例代表制の帰結は、欧州並みの政党化。100日・70日という日数は現状と整合するか。個人・無所属を市民が擁立したり、統一会派をつくったりできるか。
政党法を新設するよりも候補者選定のガイドラインを実態として積み上げては。
桔川純子委員
政党が候補者を選定する場合、市民の望む人が選ばれるか。韓国では広域自治体議員候補者は党員が選ぶが、基礎自治体議員候補者は国会議員が第一審査をする。その時点でスタートラインに立てない人が出る。
田中久雄委員
英国は5年の任期を固定、ドイツも次の首相を決めない限り不信任を決議できない。この類の公平な競争を立法化してもよいのでは。
どの時点・どの活動に公費をあてるのか。政治資金の上限をどうするのか。
『答申』は、衆議院だけではなく都道府県議会でも比例代表制を提案している。政党の役割と政党に対する規制は従来通りで良いか。現状、政党は選挙運動費用の報告を出していない。英国は政党が報告。政治資金の上限を決めるべき。
小林五十鈴委員
政治分野における男女共同参画推進法案の審議が参議院で空転している。どうすれば女性の若い議員が増えるか。どのようにして政党が女性を候補者として選定するようになるか。選挙運動資金の準備が女性立候補の大きな壁となっている。
岡﨑晴輝委員
英国も2011年に任期固定法を定めて解散に制約を設けた。今後参考にしてはどうか。
城倉啓(事務局長)
国会議員秘書から『答申』に対する応答意見をいただいた。政治改革の際の「カネのかからない選挙」という大義にまさるものは何か。選挙運動期間がなくなり年中選挙運動ができ、それに公費負担がかかるとなれば、逆戻りして「もっとカネのかかる選挙」になりはしないか。
【今後の選挙市民審議会の予定】
次回は、5月31日(木)10:00-12:00、衆議院第1議員会館 B1 第8会議室にて。
公費負担・政党助成・政治資金といった「政治のカネ」の課題を、日本の状況を踏まえつつ国際比較をします。資料提供の担当は小林幸治委員。
次々回は、7月初旬を予定しています。審議内容は、選挙運動期間撤廃と公費負担・政治資金支出の上限を総合した改正案の予定です。
その後、政党助成について審議する予定です。
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