とりプロなう109号

2019年5月22日、第二期選挙市民審議会の第15回目の審議会が開催されました。

この日のテーマは、罰則規定改正案(坪郷實委員)と国会改革(大山礼子委員)でした。

 

         坪郷實委員
         坪郷實委員

 

坪郷實委員

 

基本的な考え方として、①公選法上の犯罪類型を自然犯(買収罪・選挙の自由妨害罪など)に限る、②刑法典に統合せず特別刑法の形をとる、③現行の罰則をさらに絞る。

その上で、①選挙の自由・公正を保障するための罰則規定、②国政選挙と自治体選挙共通の特別刑法として選挙関係の犯罪についての罰則規定とする。

選挙関係の犯罪類型は以下のものなどに限定する。

A 買収及び利益誘導(公職選挙法第221・222・223条)

B 選挙の自由妨害(225・226条)

※ ABなどの関連で、暴行脅迫ないし職業上・経済上の依存関係を用いた投票の強要(221条2項・225条3項)

C 投票の秘密侵害(227・228条)

D 選挙人名簿の虚偽記載(236条)

E 不正投票、選挙結果の不正操作(237条)

上記を概括的に残すというレベルの提案にとどめたい。

人気投票の公表をどうするかについては十分に議論した方が良い。

第二期答申の目次立てについて自分でも考えてみたい。第一期の議論として、選挙する側の視点ではなく、有権者側・市民側から見た選挙という重点があった。

         大山礼子委員
         大山礼子委員

 

大山礼子委員

 

諸外国に比べて日本の国会は圧倒的に会期が短い。また継続審議が認められない法案は廃案になる。会期を延ばすことや、通年国会に。国会法で変えられるし、改憲をせずに対応している国もある。デメリットはない。

こんなに頻繁に解散・総選挙が行われるのは日本だけ。解散に縛りを。

法案修正につながる実質審議ができない。与党事前審査で修正は終わり、委員会は平行線の論戦をするだけ。本会議は空洞化している。審議時間も短い。国会審議への不信感増長させている。

内閣は自分が提出した法案でさえも自由に修正する権限がない。撤回もできない。国際的に非常識。そのため事前審査で与党議員の賛成をとりつけておかないと、内閣提出法案の成立が困難になる。内閣に修正権限を。そして国会審議に内閣を引っ張り出す。

与党議員が執行部に反対意見をだせないので、現在事前審査は機能していない。

抽選制の参議院(市民院)が拒否権まで持つのにはクエスチョン。選挙の意義が薄まる。

       三木由希子共同代表
       三木由希子共同代表

 

三木由希子共同代表(議長)

 

罰則規定を概括的に残すと構成要件がゆるくなるという問題が出てくる。削除条文の列挙はリスキー。坪郷案をベースに答申に入れる。

公選法の全面改正・ほぼ新法、ただし基本枠組みは残るという理解では。

法案修正も政局化している。事前審査も今短くなっている。

第二期答申の目次立て(事務局案)は、「民意の反映」に込めた意味が多様すぎて分からない。全体の構成も考え直す。

         田中久雄委員
         田中久雄委員

 

田中久雄委員

 

罰則規定を概括的に残すという改正案が答申の内容たりうるか。

改正か新法かではなく、変える内容の方が重要。

憲法に「通常国会」「臨時国会」「特別国会」と明記されている。通年国会は違憲となるか。

         小林幸治委員
         小林幸治委員

 

小林幸治委員

 

選挙運動の全面自由化を前提に、それでも許されない行為はあるという認識のもと、必要な罰則のみ残すという考え方。坪郷案も、ほんの一部が残っているだけ。

公職選挙法という名称も変えようという議論もあった。

立法過程の工夫として、経済財政諮問会議や国家戦略会議もあった。ねじれ国会の時にはかなり法案修正が行われたが。

第二期答申の目次立てについて、多くの人に興味をもってもらい読者に違和感を与えないように、共同代表者会議でまとめてほしい。選挙で選ばれた人がきちんと仕事をすべきと「はじめに」で書き込む。

         小林五十鈴委員
         小林五十鈴委員

 

小林五十鈴委員

 

仲間を増やす必要を痛感している。良い答申を上手に作って、効果あるものを考えてもらいたい。

         岡﨑晴輝委員
         岡﨑晴輝委員

 

岡﨑晴輝委員(スカイプ)

 

必要な罰則のみ残すことに賛成。

公選法の改正なのか、それとも廃止して新法を作るのか。改正で対応できると思うが。

通年国会に賛成。あえての質問だが、通年国会にデメリットはあるか。

抽選制の参議院(市民院)が拒否権を持つという案については。

        城倉啓事務局長
        城倉啓事務局長

 

城倉啓事務局長

 

罰則規定について、「残す」という書き方以外にも、第一期答申の書き方に合わせて削除する条文を列挙する方法もある。

第二期答申の目次立て(事務局案)の眼目は「民意の反映」。現行の選挙運動規制では民意を表出できない。比例代表によって民意を正確に反映させるが、それだけでも機能しない。民意を歪ませない仕組みや、民意を反映させるための必要経費、間接民主制だけでは掬いきれない民意を直接民主制要素で補うという筋で考えた



【今後の選挙市民審議会の予定】

 

  618日(火)15:0017:00 衆議院第二議員会館第5会議室

まとめ① 選挙制度と選挙運動、罰則、選挙管理実務、議員定数・議員の待遇

 

  75日(金)14:0016:00 共同代表者会議 非公開

 

  726日(金)13:0015:00 国会議員会館内会議室

まとめ② 選挙制度と政治のカネ、政党